Column

07/02/13

2007 . 2 . 13

 先日、久しぶりにのぞみ1号で西に向かった。まだ早朝で薄暗い中を走っている内に、トンネルを抜けたら突然霧につつまれてびっくりしてしまった。今まで森と民家とたまにビルが入り乱れた日本独特のへんてこりんな風景が、突如として美しく無限に広がる空間の風景へと変貌を遂げた。透けるって事はやっぱりすごいんだよなぁ。見せるでもなく、かといって全然見せないわけでもない。何となく見えていて、それがしかも美しく白く輝いている。いやいや輝いてみえるのは、私のイメージがそうさせているのであって、実際にその時、霧が輝いていたわけではないのです。私は山間の町で育ったから、何時も、正面を向いて歩くと目の前には、たぶん山があった。空は見上げるものだったから、見慣れたその風景は日常だったし違和感も何もなかっただろうと、今更ながら思うが、それが日常をはなれ夢の世界へと飛躍出来る瞬間があった。それは霧が出た時だ。だから小さな頃から私は霧が好きだ。今でも大好きだ。でも残念なことに、ここ茅ヶ崎ではほとんど霧が発生しない。昼夜の寒暖差が少ないからだろうか。まれ~に発生した時は、やっぱり、といった感じで、つまらない外灯や汚い車のヘッドライトの明かりなども、何となく美しく見えてしまう。精神がふわりとどっかへ飛んでいってしまいそうな瞬間。出来れば朝夕の薄暗い中での霧がより一層、美しい。

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