Column

09/07/03

車に乗っていてちょっと古い渡辺香津美(ジャズギタリスト)のCDを聴きながらふと思ったことがある。このメロディーはどこから来たのだろう。例えば歌詞があれば、もしかしたら歌詞が直接的に意味を持ってそこからある種の映像やメロディーに似たイマジネーションが広がっていくチャンスがある。けれど、今聴いているのは単なるメロディーでしかなく、そのもの自体は何の意味も説明も持たない。例えば、ジャズやフュージョンといったカテゴリの音楽にも当たり前の様に1曲ずつ「タイトル」がついているけど、そのタイトルは一体どうしてその「タイトル」になったのか分からなくて随分悩むこともあるが、結局はそういったことだなと思った。それは作曲者のイメージの問題、と片づけてしまえばそれまでだが、そのとてつもなく深いイマジネーションの世界は、僕には想像もつかないから、そのメロディーがどこからともなく生まれてくる瞬間というのが奇跡的とでも言うか、やはり想像がつかないだけあって、ことばで表現する事が出来ないくらいに感動的だなと思う。天才とはきっとそういった瞬間を味わえるひとのことを言うのだろう。残念ながら僕にはそんな才能が無いから、これからつくるべき「カタチ」の源泉を求めて、思想と経験の波の中を溺れそうになりながら泳いでいる。何も考えず、ふと、一つのカタチ、一つの立ち方が目の前に浮かんできたらどんなに素晴らしいだろう!

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