Column

12/04/04

定期購読している数少ない雑誌が登山の特集をしていて、それにまつわる文章が多く掲載されていた。山に憧れて生涯を山にかけた冒険家は多くいるし、しかしその人達はもしかしたら北極点を目指す冒険でもよかったのかもしれず、冒険というのはその人の人生そのものであって、理由無き本能の様なものだろうかと思いながら読んだ。一方で今に始まったことではないが、週末の登山ブームはそれとはちょっと違ったムードを醸し出している。行列をつくる富士山登山も。あれは冒険だろうか。ちょっと違うな。健康のためだけとも思えない。ならば何を求めて?夜少し早めに家に帰ってたまにテレビを付けてしまうと、ドラマ。そこにはヒヤヒヤ、どきどき、サスペンス。あぁ、もう疲れたから止めてくれとスイッチを切る。朝、茅ヶ崎駅まえを車で通りかかるとパチンコ屋の前で並んでいる若者。本を読むまで僕は山登りとサスペンスドラマとパチンコギャンブルは、全部同じことだと思っていた。どういうことかと言うと、現代社会におけるルーティンワークに溺れた社会人は、その怠惰な生活のはけ口としての刺激を求めて登山やドラマ、ギャンブルに走るのだろうと。いつも言うことだが、我々は建築を実態として完成させる仕事をしているため、常に多くのリスク(コスト、制度、構造等々)を抱えながら、一方で究極の達成感を感じている。笑い事ではなく、毎日が登山であり、ギャンブルである。私の様に小さいながらも会社の経営者ともなれば、そこに経営のリスクも付け加えられる。でも、やっぱり山登りはそんなこととは違う別の魅力があるんだろうな。きっと。達成感、かな。僕もいつかは山に登ってみたいと思うけど、今は建築を完成させることで精一杯。

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