Column

26/01/16

少し長めの年末年始の休みを利用して、久しぶりに本を1冊読了しました。『時のかたちー事物の歴史をめぐって』です。早稲田の中谷先生が翻訳を手がけていて、サッと読むと特に真ん中付近までは抽象的過ぎて理解が割と困難な本です。で、最初の章は3回読み直してやっと先に進むことが出来たので、時間がかかりました。本来そんな大げさに書くほどのことでもないのですが、年々、仕事に追われて、と言いますか精神的な余裕度が少ないのか、読書量は確実に減っているような気がします。週末は休みならランニングに2時間半費やしますし、特にこの季節は日没が早く、日中に自然光の元でゆったりと読書することが困難なのも理由かもしれません。この何日かは日中では全然時間が足りず、珍しく夜も読書していましたけど、本当は夜の読書は好きではありません。電灯の下での読書はどうしても閉塞感があって、心地の良い読書体験となりにくい気がします。少し前に古い文庫本のほこりをはらって、川端康成の小説を3冊まとめ読みしたこともありましたが、内容に加えて読書する季節の太陽光が生み出す木陰や中庭を吹き抜ける風、モミジの揺らぎなど、環境全てが追体験として感想に影響を与える気がします。一方で私の読む本の大半は自然科学に関連するものですので、電車の中でも読みますが、やはり夜は窮屈な感じがするので読まない様にしています。さて今回の本ですが、主に芸術、美学における歴史の捉え方を見直しています。私が大好きなジャンルに気候学や地理学があるのですが、例えば高校時代に習った歴史というのは人と人の因果ばかりが語られていました。でも時も下って炭素同位体計測による正確な気候変動が分かってくると、歴史を動かした主原因に地球規模での気候変動が関係していたことが分かってきます。あるいは地理学的要素もそういった歴史の捉え方が大きく変わってきた要素ですが、この本では主に芸術に関連する事物の歴史をひとが創り出す偶然の出来事として捉えるのではなく時間の経過とともに不可逆的に変化してゆく過程として捉えています。ですので始まりと終わりもある一連の動体、ひとが意識することの出来ない大きな流れの中に事物の変遷、本質をとらえるというものです。刺激になります。

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